
蒸気設備で使うヨシタケ製品と、それぞれの役割
蒸気設備の図面には、圧力を調整する弁やドレンを排出する機器が並びます。名前を覚えても、それぞれが必要な理由は別の理解が必要です。減圧弁の近くにあるストレーナ、安全弁、スチームトラップを見て、「役割は重ならないのか」「この装置では何を確認すればよいのか」と資料を見比べることもあります。機器ごとに調整・捕捉・排出・分離の対象を分けると、製品の位置づけがつかめます。
ここでは、ヨシタケが扱う蒸気設備用製品を、役割と代表的なラインアップから整理します。型式をすぐ決めるための一覧ではなく、製品資料を読む前に必要な基礎をまとめた記事です。似た名称の機器の違いを押さえ、設備の目的に合った製品について相談しやすくします。
この記事のポイント
- 減圧弁・ストレーナ・トラップなどは、対象と役割を分けて理解します。
- トラップの作動方式や、安全弁の揚程式・全量式には違いがあります。
- 蒸気用エアーベントはTS-5、ドレンセパレーターはDSシリーズが代表例です。
この記事の結論
蒸気設備で使用するヨシタケ製品は、蒸気の圧力を下げる、異物を捕捉する、ドレンや空気を排出する、水滴を分離するなど、それぞれ異なる役割を担います。名称が似ていても、同じ目的の機器として置き換えることはできません。まず設備で必要な働きを整理し、該当する製品群の特徴を確認することが出発点です。本記事の代表例から関心のある製品を見つけ、具体的な用途や使用条件はヨシタケへお問い合わせください。
蒸気設備を支えるヨシタケ製品
蒸気は、熱交換器や加熱・乾燥装置などへ熱を運びます。ボイラーから供給された状態のままで、すべての装置に適するとは限りません。装置に必要な圧力へ調整し、配管内で発生する異物やドレンにも対応するため、複数の機器を使用します。
| 機器 | 主な役割 | ヨシタケ製品の代表例 |
|---|---|---|
| 減圧弁 | 蒸気を装置に必要な圧力まで下げて供給する | GP-1000、GP-2000、GD-30 |
| ストレーナ | 配管内のさびや異物をスクリーンで捕捉する | SYシリーズ |
| スチームトラップ | 蒸気の流出を抑えながらドレンを排出する | TD・TSDシリーズ、TF・TSFシリーズ、TBシリーズ、TSシリーズ |
| 安全弁 | 圧力が設定値に達したときに蒸気を放出し、圧力を逃がす | AL-150、AFシリーズ |
| 蒸気用エアーベント | 蒸気設備内にたまった空気を排出する | TS-5シリーズ |
| ドレンセパレーター | 蒸気に含まれる水滴を分離する | DSシリーズ |
※掲載型式は代表例です。ヨシタケが扱う蒸気設備用製品は、この表に限りません。
同じ「配管の状態を整える」機器でも、圧力、異物、水滴、空気では対象が違います。たとえば、異物を取りたい箇所に減圧弁だけを設けても、ストレーナの代わりにはなりません。製品群ごとの役割を先に理解すると、仕様表の数値も何のために確認するのかが明確になります。
減圧弁
減圧弁は、入口の一次側圧力より低い圧力に調整して、出口の二次側へ蒸気を供給する弁です。供給源の圧力と装置で必要な圧力に違いがある場合に使用します。蒸気の供給量が変わる運転でも、二次側圧力を所定の範囲で保つ役割があります。
GP-1000やGP-2000は、小さなパイロット弁を介して主弁を動かすパイロット式です。GD-30は、二次側圧力を受ける検出部が直接弁体を動かす直動式です。直動式のコンパクトな構造と、パイロット式の流量変動に対応する制御特性を、必要な蒸気量に照らして比較します。
同じ口径の配管でも、常に一定量を使う装置と、起動時に多くの蒸気を使う装置では運転条件が異なります。比較する際は最大流量だけでなく、通常時や少量使用時の条件も確認します。圧力を下げることと、流れを完全に止めることは別の機能です。減圧弁を止弁と同じものとして扱わないことも基本になります。
ストレーナ
ストレーナは、網状のスクリーンでさびや異物を捕捉する機器です。異物が弁体と弁座の間に入り込むと、弁が閉まりきらないなどの作動不良につながることがあります。下流にある機器の仕様に応じ、必要な異物対策を考えます。
SYシリーズには、圧力・温度・接続条件などに応じた型式があります。捕捉したい異物に合わせて選ぶのが、スクリーンのメッシュ数です。メッシュは網目の細かさを表す指標で、数値だけを大きくすればよいわけではありません。目詰まりや圧力損失、清掃のしやすさも含めて検討します。
配管したままでもスクリーンを取り出して点検・清掃できるよう、保守のためのスペースを確保します。ただし、これは運転中の分解や清掃を意味しません。作業は対象製品の取扱説明書に従い、流体の供給停止、内部圧力の除去、温度の確認を行ってから実施します。設置時に取出し方向を確認しておくと、後から周囲の配管を移動する手間を避けられます。
スチームトラップ
蒸気が熱を放って水に戻ったものを「ドレン(凝縮水)」といい、錆やウォーターハンマーの原因となります。スチームトラップは、蒸気の流出を抑えながら、このドレンを配管や装置から排出します。排出する液体がないときにも蒸気を流し続ける、単純な開口とは異なります。
代表的な方式には、次の違いがあります。ここでは仕組みの特徴を整理しており、一つの方式があらゆる用途で優れるという比較ではありません。
- ディスク式:TD・TSDシリーズ。 蒸気とドレンの流動による圧力変化を利用し、円盤状の弁を開閉します。
- フロート式:TF・TSFシリーズ。 ドレンの水位に応じて浮きが動き、排出量を調整します。
- 逆バケット式:TBシリーズ。 逆さにしたバケツ状の部品に働く浮力の変化を利用して開閉します。
- サーモスタティック式:TSシリーズ。 温度の変化を利用して作動します。TS-5シリーズもこの方式です。
方式を比較するときには、連続して生じるドレンを排出したいのか、起動時の空気も排出したいのかなど、用途を確認します。また、排出能力は入口圧力だけでは決まりません。出口側にも圧力があると、ドレンを押し出すための圧力差が小さくなるためです。
計算の例として、入口側が0.5MPa、出口側が0.2MPaなら、その差は0.3MPaです。排出量線図は、この作動圧力差に対応する箇所を確認します。必要な排出量や余裕の取り方は製品資料に従い、入口圧力だけで能力を判断する誤りを避けます。
安全弁
安全弁は、圧力が設定値に達したときに蒸気を放出して、圧力を逃がすための弁です。通常運転の供給圧力を調整する減圧弁とは、作動の目的が異なります。減圧弁があることを理由に、安全弁の役割が不要になるわけではありません。
ヨシタケには、揚程式と全量式のラインアップがあります。揚程式は、弁が持ち上がってできる流路が吹出し量に関わる方式です。全量式は弁体が大きく持ち上がり、大きな吹出し量を確保する用途で検討します。AL-150は揚程式の代表例、AFシリーズは全量式の代表例です。両方式の定義はヨシタケの安全弁公式Q&Aに掲載されています。
必要な蒸気の放出量が大きい場合は、全量式のAFシリーズを含めて確認します。設定圧力が合っていても、必要な吹出し量を満たさなければ選定条件はそろいません。保護対象の仕様に加え、流体、温度、必要な吹出し量を確認し、それぞれの製品資料に基づいて選定します。
蒸気用エアーベント
蒸気設備の運転開始時には、配管や装置内に空気が残っています。空気がたまると、蒸気の流入や熱の伝わりを妨げることがあります。蒸気用エアーベントは、その空気を外へ排出する機器です。水配管の空気抜きとは、使用する流体や作動条件を区別して選びます。
代表例のTS-5シリーズには、インライン型のTS-5V、ストレート型のTS-5S、ストレート型にブローバルブを備えるTS-5BPがあります。温度に応じて作動するサーモスタティック式で、蒸気用エアーベントとしても使用できます。
作動温度には仕様の違いがあります。蒸気用エアーベント用途では、取扱説明書で飽和蒸気温度より25℃低い温度で作動する仕様が推奨されています。外観やシリーズ名だけで決めず、用途に合う仕様を指定します。詳細はTS-5シリーズ取扱説明書の「1.仕様」「4.2 エアーベントとして使用する場合の配管例」で確認できます。
ドレンセパレーター
ドレンセパレーターは、蒸気に含まれる水滴を分離する機器です。ヨシタケではDSシリーズを取り扱っています。配管を流れる蒸気に水滴が混じっている場合に、その水滴を分ける役割を担います。
ストレーナが主に固形の異物を捕捉するのに対し、ドレンセパレーターは水滴を分離します。また、スチームトラップはたまったドレンを排出する機器です。「異物の捕捉」「水滴の分離」「ドレンの排出」を区別すると、名称だけで機器を取り違えにくくなります。
製品資料を読むときの確認事項
Q1.減圧弁と安全弁は同じ圧力調整用ですか?
A1.役割が異なります。減圧弁は供給圧力を下げ、安全弁は設定圧力に達したときに圧力を逃がします。
Q2.ストレーナの網は細かいほどよいですか?
A2.一律には決まりません。捕捉対象と下流機器の指定、圧力損失、清掃条件を合わせて確認します。
Q3.配管したまま清掃できるなら、運転中でもよいですか?
A3.運転中の分解を意味しません。供給停止・圧力除去・冷却など、取扱説明書の手順が前提です。
Q4.トラップは方式だけで選べますか?
A4.方式に加え、ドレン量と入口・出口の圧力が必要です。起動時と通常時の条件も確認します。
Q5.蒸気量が多い設備の安全弁は何を確認しますか?
A5.必要な吹出し量です。揚程式だけに限定せず、全量式のAFシリーズを含めて検討します。
Q6.TS-5はどの仕様でも蒸気用エアーベントに使えますか?
A6.用途に合う作動温度の仕様を確認します。公式取扱説明書では飽和蒸気温度より25℃低い仕様を推奨しています。
Q7.ここに載っていない蒸気配管用の製品もありますか?
A7.あります。この表は代表例です。必要な機能を伝え、該当する製品についてお問い合わせください。
必要な役割から製品を探す
- 圧力、異物、ドレン、空気、水滴のうち、何に対応する機器かを整理します。
- 代表型式から製品群を確認し、作動方式や用途の違いを比較します。
- 型式を決める段階では、使用条件に合う仕様を確認します。
製品群ごとの掲載資料は、ヨシタケのテクニカルガイドブックで確認できます。今回紹介した製品以外にも、蒸気配管に使用される製品を取り扱っています。必要な機能や用途が整理できた段階で、ヨシタケのお問い合わせ窓口へご相談ください。
