新規3記事 逆止弁の選び方|ヨシタケSCV-2の特徴と逆流対策の確認点

ヨシタケ SCV-2の製品外観
ヨシタケ SCV-2(公式製品写真)
ヨシタケ SCV-2(公式製品写真)/製品情報・写真出典

蒸気・冷温水配管の逆流対策を、SCV-2の仕様から考える

逆止弁は、配管を流れる流体の逆流を防ぐための弁です。選ぶ際には、逆流時の働きだけでなく、通常時に必要な流量を通せるかも確認します。設備図に逆止弁を追加するとき、「配管と同じ口径でよいのか」「縦の配管にも使えるのか」「閉じれば漏れはなくなるのか」と、似た製品を見比べることがあります。名前が同じでも、開き始める圧力や許容される漏れの条件は共通ではありません。

ヨシタケのSCV-2は、蒸気・冷温水に対応するステンレス製の逆止弁です。ここでは、製品の仕様を手掛かりに、逆流防止の役割、口径を比べる際の圧力損失、設置方向、保守時の確認点を整理します。必要な働きと使えない条件を把握すると、図面や仕様書で確認すべき項目が明確になります。

この記事のポイント

  • SCV-2は蒸気・冷温水用で、通常の流れ方向と取付姿勢を区別して確認します。
  • 最小開弁圧力と、必要流量を流したときの圧力損失は別の条件です。
  • 若干の弁漏れがあるため、完全閉止を要求する用途には使用できません。

この記事の結論

SCV-2を検討するときは、流体・温度・圧力への適合に加え、通常時に流せる量と、逆流時に求める止まり方を確認します。水平・垂直に取り付けられても、入口と出口を逆にしてよいわけではありません。また、最小開弁圧力だけでは必要流量を確保できるか判断できず、圧力損失図表の確認が必要です。完全閉止が必要な設備では、その要求を先に明確にし、用途に合う機器構成を相談してください。

逆止弁が受け持つ働き

配管では、入口側から出口側へ流すことを前提に設備を組みます。しかし、供給側の停止や接続先の圧力変化によって、流体が反対方向へ戻ろうとする場合があります。逆止弁は、その逆向きの流れを防ぐ役割を担います。

SCV-2の内部には、ディスクとばねがあります。入口側から流れを通すための圧力差が生じるとディスクが開き、流れがなくなる方向では閉じる構造です。電源からの開閉指令を待つ電動弁とは、作動の仕組みが異なります。制御盤から任意の時間に開閉させる用途と、流れの方向に応じて作動させる用途を区別します。

止弁・減圧弁との使い分け

機器 主に行うこと 比較する際の確認点
逆止弁 逆向きの流れを防ぐ 最小開弁圧力、圧力損失、漏れの条件
止弁 必要に応じて流路を開閉する 操作方法、使用条件、必要な閉止性能
減圧弁 一次側より低い二次側圧力へ調整する 設定圧力、流量特性、圧力区分

同じ配管に複数の弁があっても、目的が重複しているとは限りません。逆止弁は逆流対策に使い、通常の供給圧力を調整する場合には減圧弁を検討します。保守時の確実な系統の隔離については、必要な閉止性能を持つ機器と作業手順を別途確認します。

特にSCV-2は、取扱説明書で若干の弁漏れがあることが示されています。逆止弁という名称から、長時間にわたり完全に流体を遮断できると考えるのは適切ではありません。「どちら向きの流れを防ぐか」と「どこまでの漏れを許容するか」は、分けて仕様に記載します。

SCV-2の仕様を読む

項目 SCV-2の仕様
適用流体 蒸気・冷温水
呼び径 15A、20A、25A、40A、50A
最高使用圧力 1.6MPa
適用温度範囲 5~220℃
接続 JIS Rcねじ
最小開弁圧力 0.003MPa
本体材質 SCS
取付姿勢 水平・垂直任意

※32Aは製作していません。上表は型式の概要であり、使用条件と取扱説明書を併せて確認します。

呼び径が15A~50Aと表示されていても、その間のサイズがすべてあるとは限りません。既設配管が32Aの場合には、32AのSCV-2があるという前提で図面や発注を進めないようにします。必要流量を確認したうえで、接続方法を含めた構成を検討することになります。

また、ステンレス製という理由だけで、薬品や粘着性のある流体にも使えるとは判断できません。適用流体として示されるのは蒸気と冷温水です。仕様にない流体を検討する場合は、流体名・濃度・温度を伝えて適合性を確認します。

仕様の出典:ヨシタケ SCV-2公式製品ページおよびSCV-2取扱説明書「2.仕様」。

開き始める圧力と、流すための圧力を分ける

最小開弁圧力は流量の保証ではありません

SCV-2の最小開弁圧力は0.003MPaで、単位を変えると3kPaです。これは開き始めるために必要な圧力差に関わる値であり、その差圧でどの口径でも必要流量を流せるという意味ではありません。

比較のための仮定として、弁の前後に使える圧力差が0.002MPaしかない条件を考えます。この場合、SCV-2の最小開弁圧力0.003MPaを満たしません。一方、差圧が0.01MPaあるからといって、希望流量を必ず通せるともいえません。次に必要となるのが、その流量で生じる圧力損失の確認です。

圧力損失図表で、呼び径と流量を照合します

流体が弁を通る際には圧力損失が生じます。下流の装置へ必要な圧力を届けるには、逆止弁を含む経路でどれだけ圧力が低下するかを確認します。口径は接続できるかだけでなく、必要な流量を通す条件から選ぶことになります。

取扱説明書には圧力損失図表があり、選定時には性能値に20%以上の安全率を取るよう記載されています。図表の読み方と余裕の取り方は、その条件に即して確認します。単に口径を一段大きくすれば、すべての条件を満たすという扱いにはしません。

設計段階で用意したいのは、通常流量と最大流量、入口側圧力、出口側で必要な圧力です。値が変動する場合は、どの運転状態の数字なのかも添えます。数値だけを並べるより、「供給停止時」「通常運転時」などの状態と対応させると、逆流が起きる条件と通常の通水条件を分けて確認できます。

取り付け時に間違えやすい点

水平・垂直任意でも、流れ方向は決まっています

SCV-2は水平・垂直の配管に取り付けられます。ただし、流体を通す方向と製品の出入口を一致させる必要があります。「縦でも使える」という説明は、入口と出口を入れ替えて使えるという意味ではありません。実物の表示と配管図を照合して確認します。

配管後に流れなくなった場合、まず供給条件と取付方向を確認することが切り分けの一つになります。圧力が不足しているのか、方向が逆なのか、異物や固着があるのかでは対応が異なります。症状だけを見て、直ちに製品サイズの問題と決めつけないようにします。

異物・荷重・急開閉の影響を確認します

施工時に入った異物やスケールは、弁が当たる部分に付着して逆流の原因になることがあります。取扱説明書では、設置前に配管内の異物を除去するよう指示されています。配管に接続する前の清浄度と、作業後に異物が入り込まない管理の両方が必要です。

弁へ無理な荷重、曲げ、振動が伝わらない配管とすることも確認事項です。製品を利用して配管の位置ずれを無理に合わせると、接続部に負担がかかります。また、二次側に急開閉弁を設置すると製品寿命が低下するおそれがあるため、下流にある弁の作動条件も伝えます。

公式製品ページにはウォーターハンマー防止への効果が示されていますが、すべての水撃現象をSCV-2だけで解消できるという意味ではありません。現象が発生するタイミングや配管条件を確認し、原因に応じた対策を検討します。

不具合を伝えるときの整理

取扱説明書では、流れない場合の原因としてディスクの固着や取付方向、逆流する場合の原因として異物の付着、摩耗、内部部品の破損などを挙げています。外部への漏れについては、ガスケットの破損が示されています。

相談時は「逆止弁が悪い」だけでなく、何が起きているかを分けて伝えます。たとえば、通常運転で流量が不足するのか、供給停止後に逆方向へ戻るのか、接続部から外へ漏れているのかという違いです。型式、呼び径、使用期間、流体、温度、前後の圧力、発生するタイミングを記録すると確認に役立ちます。

保守のために配管から外す際は、内部圧力を完全に抜き、高温流体を使用していた場合は本体を十分に冷却します。SCV-2は取扱説明書で分解しないよう明記されているため、内部を分解して修理する前提で作業を進めないでください。点検・交換は設備の管理手順と取扱説明書に従います。

導入前に確認する7つの疑問

Q1.SCV-2に電源は必要ですか?

A1.電気信号で開閉する構造ではありません。流体の圧力差と内部の機構によって作動します。

Q2.SCV-2の32Aはありますか?

A2.ありません。公式仕様の呼び径は15A・20A・25A・40A・50Aの5種類です。

Q3.垂直配管なら上下どちら向きでもよいですか?

A3.製品の入口と出口を、実際に流したい方向に合わせます。取付姿勢の自由度と流れ方向は別の条件です。

Q4.最小開弁圧力が確保できれば、流量は足りますか?

A4.別途確認が必要です。必要流量での圧力損失を、呼び径ごとの図表で照合します。

Q5.完全に漏れを止めたい用途にも使えますか?

A5.使えません。SCV-2は若干の弁漏れがあり、完全閉止を要求する用途には適しません。

Q6.ステンレス製なら薬品にも使用できますか?

A6.材質だけでは判断できません。適用流体は蒸気・冷温水で、それ以外は具体的な条件を伝えて確認します。

Q7.逆流したら分解して清掃すればよいですか?

A7.分解はしないよう指定されています。異物・摩耗・取付条件を確認し、取扱説明書に沿って対応します。

図面と実物の確認をそろえる

  • 流れ方向と、逆流を防ぎたい運転状態を明らかにします。
  • 圧力・温度・流量と、許容する漏れの条件を確認します。
  • 取付姿勢、前後の機器、点検方法まで含めて検討します。

図面に逆止弁の記号を追加する前に、必要な機能を仕様として書き出してみてください。SCV-2の適否が判断しきれない場合は、上記の条件を添えてヨシタケのお問い合わせ窓口へご相談ください。