新規3記事 温水製造装置の選び方|ヨシタケHN-200シリーズの仕組みと確認条件

ヨシタケ HN-200SSシリーズの製品外観
ヨシタケ HN-200SSシリーズ(公式製品写真)
ヨシタケ HN-200SSシリーズ(公式製品写真)/製品情報・写真出典

蒸気で温水をつくるHN-200シリーズの仕組みと選定条件

温水製造装置の選定には、必要温度と必要量の両方が欠かせません。使う時間帯と、同時に使用する箇所も確認します。洗浄工程の設備を計画するとき、「必要な温度のお湯が足りるか」「貯湯槽を置く場所は確保できるか」「既存の蒸気を利用できるか」と、装置の仕様と工場の条件を見比べることがあります。最高温度や最大能力だけでは、実際の使い方に合うかを判断しきれません。

ヨシタケのホットウォーターナビゲーターHN-200シリーズは、蒸気の熱を使って水を加熱する温水製造装置です。必要なときに温水をつくる方式の特徴と、供給蒸気・給水・使用流量・ドレン排出の関係を整理します。導入時に何を測り、どの条件をメーカーへ伝えればよいかが分かるように説明します。

この記事のポイント

  • 温水温度だけでなく、給水温度と同時使用時の流量を確認します。
  • HN-200シリーズは、ユニット入口と熱交換器入口で蒸気圧力の条件が異なります。
  • 必要量の供給には、給水と蒸気の確保に加え、ドレンの排出条件も関わります。

この記事の結論

蒸気式の温水製造装置は、既存の蒸気を活用し、必要な場所で温水をつくりたい場合の選択肢です。HN-200シリーズでは、希望する温水温度、給水温度、最小・最大の使用流量をそろえ、蒸気と水の供給条件を確認します。熱交換器の能力だけを満たしていても、供給圧力やドレン排出条件が適合しなければ、想定した運転につながりません。季節による給水温度の変化と同時使用を含めて条件を整理し、具体的な型式を検討してください。

蒸気と水を混ぜずに熱を伝える仕組み

HN-200シリーズは、シェル&チューブ式の熱交換器を用います。外側の胴と内部の管で構成され、蒸気が持つ熱を管壁を介して水に伝えます。蒸気と水を直接混ぜる方式とは異なり、熱交換器を通して水を加熱する構成です。

熱を渡した蒸気は凝縮し、ドレンになります。このドレンを排出しながら、蒸気から水へ熱を伝え続けます。温水の使用量に対応して蒸気供給を調整するため、熱交換器に加え、調整弁や周辺機器の働きも関係します。

HN-200シリーズは自力式の差圧反応式調整弁を用い、装置の制御に電気・計装品を必要としない構成です。ただし、これは温水をつくるためのエネルギーが不要という意味ではありません。蒸気と水の供給が必要であり、工場のボイラーや給水設備などを含めた電力・燃料の条件は別途確認します。

公式のHN-200SSシリーズ製品情報では、接液部ステンレス・オールステンレスのモデルや、温度帯に応じたラインアップを紹介しています。製品の構成を理解したうえで、必要な温水条件と照らし合わせます。

貯湯方式と瞬間式を比べる

温水をあらかじめためておく貯湯方式と、必要なときに製造する方式では、容量の考え方が異なります。どちらが適するかは、使用量の時間変化と設置条件で判断します。

比較項目 貯湯方式 必要時に製造する方式
使用量への対応 ためた量と追加加熱能力を組み合わせる 使用時の必要流量に製造能力を合わせる
設置条件 タンクの設置スペースを確認する 装置と保守スペース、供給配管を確認する
短時間の集中使用 貯湯量を含めて検討する 同時使用時の最大流量を確認する
管理する項目 貯湯温度・残量・衛生管理など 供給条件・温度・流量・排出条件など

HN-200シリーズを含むヨシタケのホットウォーターシステムは、ストレージタンクを必要としないことを特徴としています。タンクの場所を確保しにくい場合には利点になります。一方、短時間に温水使用が集中する設備では、その時点で必要な熱量を供給できるかが重要です。設置面積だけを比較して方式を決めないようにします。

比較のための仮定として、10L/minの洗浄箇所が3か所ある設備を考えます。1か所ずつ使うなら10L/minですが、3か所を同時に使えば30L/minです。1日の合計使用量が同じでも、必要な瞬間能力は変わります。工程表や使用時刻の記録から、同時使用の組み合わせを確認します。

温度・流量・熱量を同じ条件で比較する

給水温度は季節で変わる条件です

温水を60℃で使いたい場合でも、給水が10℃なのか20℃なのかで、加えるべき熱量は変わります。装置の能力を比較するときは、希望する温水温度と、加熱前の給水温度を一組にします。夏の給水条件だけで選ぶと、冬の条件を見落とす場合があります。

HN-200シリーズの取扱説明書には、最小温度差37℃という条件があります。希望する出口温度だけでなく、給水との温度差が仕様に合うかを確認します。たとえば給水20℃、温水50℃という仮定では温度差は30℃です。50℃という数字だけを見て、仕様に合うと判断することはできません。

必要熱量の概算から条件を整理します

水の比熱を約4.18kJ/(kg・℃)、密度を約1kg/Lとして概算すると、必要な熱量は「水の質量流量×温度差×比熱」で整理できます。これは装置の型式を確定する計算ではなく、使用条件を把握するための概算です。

計算例として、15℃の水を60℃に加熱し、30L/min使用する場合を考えます。温度差は45℃、水の量は約0.5kg/sなので、必要な熱量は約94kWです。配管などの放熱や余裕は含めていません。実際の選定では、メーカーの性能表と供給条件を用いて確認します。

必要な温度と流量が分からないまま、大きな装置なら対応できると考えるのも避けたい点です。少量だけ使用する時間帯がある場合には、最小流量側の条件も確認します。最大能力に加え、日常の使い方に合う運転範囲が重要になります。

HN-200シリーズで確認する仕様

項目 取扱説明書で確認する条件
低温用の例 HN-200SS・HN-200AS:50~70℃
高温用の例 HN-200HSS・HN-200HAS:70~95℃
供給蒸気圧力(ユニット) 0.4~1.0MPa
供給蒸気圧力(熱交換器) 0.05~0.1MPa
給水圧力 0.2~0.7MPa
最小温度差 37℃

※代表的な仕様の整理です。設定温度・給水温度・流量を組み合わせ、対象型式の性能表で確認します。

特に間違えやすいのが、蒸気圧力の測定場所です。ユニットに供給する蒸気と、減圧後に熱交換器へ入る蒸気では条件が異なります。熱交換器の圧力だけを見て、工場の供給蒸気をそのまま接続できるとは判断しません。現場の測定値にも、測定位置を添えて整理します。

また、取扱説明書では、給水圧力を熱交換器内の蒸気圧力より0.05MPa以上高くするよう示しています。この差圧条件と、表の給水圧力範囲の両方を確認します。供給側のポンプや、同時に使う他設備の影響で圧力が下がる場合には、その最低値も必要です。

上表と差圧条件の出典:HN-200シリーズ取扱説明書「2.型式の説明」「3.仕様及び性能」「6.配管・施工」。

ドレン排出と保守スペースも計画に含める

温水製造装置は、蒸気を供給できればそれだけで成立する設備ではありません。蒸気が凝縮して生じたドレンを排出する経路が必要です。排出先に圧力がある、途中で配管が立ち上がるなどの条件は、排出に使える圧力差に影響します。

HN-200シリーズの取扱説明書でも、背圧のある回収ラインや立上げ配管へ接続する場合の確認事項が示されています。回収したいという目的だけで配管を決めず、接続先の圧力や高さを伝えます。排出条件が合わない場合には、温度低下などにつながる可能性があるためです。

装置の外形が収まることと、保守作業ができることも別です。機器の点検、部品の取外し、操作、排水に必要な場所を確保します。配置図には装置の占有面積だけでなく、周辺の壁・通路・配管との位置関係を記載すると確認しやすくなります。

運転開始の手順は型式の取扱説明書に従います。HN-200シリーズでは、給水圧力が加わっていることを確認してから蒸気を供給する必要があります。給水のない状態で蒸気だけを入れる扱いは避けます。高温水を使用する設備では、使用場所での温度管理や操作手順も含めて準備します。

導入前に整理したい7つの疑問

Q1.HN-200シリーズは蒸気と水を直接混ぜますか?

A1.シェル&チューブ式熱交換器を介して加熱します。蒸気を水へ直接吹き込む方式ではありません。

Q2.電気不要なら、工場全体でも電力を使いませんか?

A2.いいえ。装置の制御と、ボイラー・給水設備などの動力は別です。蒸気と水の供給が必要です。

Q3.1日の使用量だけで選べますか?

A3.同時使用時の流量が必要です。10L/minを3か所で同時使用する仮定なら、合計30L/minを検討します。

Q4.50℃にできるなら、どの給水温度でも使えますか?

A4.温度差の条件も確認します。取扱説明書の最小温度差37℃と、型式別の性能表を照合します。

Q5.ユニットの蒸気圧力と熱交換器の圧力は同じですか?

A5.異なります。仕様ではユニット0.4~1.0MPa、熱交換器0.05~0.1MPaです。

Q6.ドレンは既存の回収管につなげばよいですか?

A6.接続先の圧力と立上げ高さなどの確認が必要です。排出に必要な圧力差を確保できるか検討します。

Q7.相談時に用意する情報は何ですか?

A7.希望温度、給水温度、最小・最大流量、蒸気・給水圧力、ドレン排出条件、設置場所を整理します。

使用時間帯まで含めて、温水条件をまとめる

  • 希望温度と給水温度を、季節の変化を含めて確認します。
  • 同時に使う箇所と使用時間から、必要な流量を整理します。
  • 蒸気・給水・ドレンの条件と保守スペースを確認します。

最初から型式名を決める必要はありません。工程で必要な温水条件を一枚にまとめ、未測定の項目は区別しておくと、確認すべき点が見えてきます。設備計画や既存条件の整理を進める段階で、ヨシタケのお問い合わせ窓口へご相談ください。