訪日外国人は日本で何に困る?代表的な悩みを解説

外国人観光客が日本滞在中に感じやすい不便や不安を具体的に整理する

訪日外国人が日本で困る代表例は5つ。言語、支払い、交通、Wi-Fi、マナーです。最も多いのは言語と支払いの壁。理由は、英語表記とキャッシュレス対応がまだ店舗ごとにバラバラだから。だから事業者が事前に整える価値が大きい。対象は、外国人客を増やしたい店舗・観光地・自治体の担当者です。

「うちの料理は喜ばれるのに、なぜリピートが続かないんだろう」「メニューを指差されても答えられなくて、つい愛想笑いで流してしまった」「キャッシュレスにしたほうがいいのは分かってる、でも何から手をつければ…」。そんな声をよく聞きます。この記事では、訪日客が実際につまずく場面を5つに分けて整理し、自分の現場のどこを直せば不安が減るかを判断しやすくします。

【この記事のポイント】

  • 訪日客が困る場面を「言語・支払い・交通・Wi-Fi・マナー」の5つに整理して、優先順位をつけやすくします
  • 事業者がすぐ着手できる配慮を、お金をかけない順に具体例で示します
  • 「全部やる」のではなく「自店に効く1〜2個から」を選ぶ判断基準を提示します

今日のおさらい:要点3つ

  • 困りごとの上位は言語と決済。まずこの2つから着手すると効果を実感しやすい
  • 完璧な多言語化より、指差しと写真で「伝わる」工夫のほうが現場では強い
  • 配慮は一度きりでなく、客の反応を見て少しずつ直し続けるもの

この記事の結論

  • 一言で言うと、訪日客の不安は「分からない・通じない・どうすればいいか不明」の3つに集約される
  • 最も重要なのは、自店で起きている困りごとを1場面だけでも具体的に思い出すこと
  • 失敗しないためには、流行りの対策を全部追わず、来店客層に合う配慮を絞って続けること

訪日外国人が日本滞在中につまずく代表的な5つの場面

「インバウンド対策」と一言で言っても、客がどこで困っているかは場面ごとに違います。ここでは現場で実際に見聞きしてきた5つの困りごとを、起きやすい順に整理します。比較サイトやSNSで対策を見すぎて、何が自店に必要か分からなくなっている方ほど、まず「どの場面か」を切り分けると楽になります。

言語:通じないことより「聞いていいか分からない」不安

正直なところ、外国人客が一番こたえているのは「英語が通じない」こと自体ではありません。「店員さんに話しかけていいのか、迷惑じゃないか」という遠慮のほうです。

ある定食屋さんで、こんな場面に出くわしました。台湾から来たという二人連れが、券売機の前で5分近く立ち止まっている。後ろに並ぶ人を気にして、メニューを指差しては顔を見合わせ、結局いちばん上のボタンを押した。食べ終わったあとに「本当はこっちが食べたかったみたい」と店主がこぼしていました。漏れた、小さな溜息。

実は、言葉が完璧でなくても「写真があるか」「指差しで頼めるか」だけで、この遠慮はかなり消えます。観光庁の「訪日外国人消費動向調査」でも、旅行中に困ったこととして施設スタッフとのコミュニケーションが繰り返し上位に挙がっています。流暢な接客より、「指で頼めます」という安心感のほうが、ハードルを下げてくれるんですね。

支払い:現金しか使えない店で財布を閉じる瞬間

よくあるのが、レジ前で「カード、OK?」と聞かれて「現金だけです」と答えた途端、客の表情が少し曇る場面です。

キャッシュレス先進国から来た人にとって、現金を持ち歩く感覚そのものが薄い。両替の手間、小銭の使いにくさ、レートへの不安。ケースによりますが、「ここは現金だけか」と分かった瞬間に、買う量を減らしたり、入店をやめたりする人もいます。観光庁の調査でも、クレジットカードや電子マネーが使える場所の少なさは、長く指摘されてきた不満点のひとつです。

ある土産物店では、QRコード決済を一種類だけ入れたところ、客単価が目に見えて変わったそうです。最初は「手数料がもったいない」と半信半疑だった店主が、「買い足してくれる人が増えた」とだけ静かに言っていたのが印象的でした。

交通・Wi-Fi・マナー:移動と情報と「正解が分からない」戸惑い

残る3つはまとめて整理します。共通するのは「正解が分からない」という戸惑いです。

交通では、切符の買い方、乗り換え、ICカードのチャージ。路線図が複雑で、どの改札を出ればいいかで立ち往生する人は多い。Wi-Fiは、フリーWi-Fiがあっても接続手順が分かりにくく、結局つながらないまま地図も翻訳アプリも使えず、孤立感が増します。

マナーは、本人に悪気がないだけに難しい。土足、撮影、行列、ゴミの分別、温泉のルール。「ダメと言われて初めて気づいた」というケースが大半です。日本政府観光局(JNTO)も、こうした文化の違いを事前に伝える情報発信の重要性を発信し続けています。叱るより、先に「こうしてね」と見せておく。それだけで、お互いの気まずさはずいぶん減ります。

事業者が無理なく始められる配慮と、続けるための工夫

ここからは「では何をするか」です。全部を一度にやる必要はありません。お金のかからないものから順に、自店に効きそうな1〜2個を選ぶ前提で読んでください。比較した人たちが最後に確認していたのも、結局「自分の店で続けられるか」でした。

お金をかけずにできる第一歩:写真・指差し・短い英語

最初にやるべきは、印刷とひと工夫でできることです。

メニューに写真を足す。番号を振って「指差しで注文OK」と一言添える。よく聞かれる質問の答えを3つだけ英語で紙に書いて貼る。これだけで言語の壁はかなり下がります。実は、翻訳アプリに頼りきるより、紙の指差しのほうが現場では速くて確実なことが多い。

ある喫茶店のマスターは、英語が一切できません。でも「Pointing OK」と書いた小さな札をレジに置いただけで、外国人客の注文がスムーズになったと言います。変わったのは、客が入口で迷う時間が短くなったこと。たった一つ、それだけです。

決済とWi-Fi:小さく試して反応を見る

支払いとWi-Fiは、少額の投資で印象が大きく変わる領域です。

決済は、まずQRコード決済か、客層に合う1〜2種類のカードから。全部入れる必要はありません。Wi-Fiは、提供しているなら接続手順を絵入りで貼り出すだけでも親切度が上がります。「つながらない」が「つながった」に変わると、客はその店を情報の拠点として頼り始める。

ケースによりますが、決済手段を一つ増やすかどうかは、来店客の国籍や単価を1週間メモしてから決めても遅くありません。経済産業省もキャッシュレス推進の文脈で、小規模事業者の段階的な導入を後押ししています。いきなり完璧を目指さず、小さく試して反応を見る。これが失敗しにくいやり方です。

マナーは「叱る」より「先に見せる」。そして続ける

マナーの配慮は、伝え方しだいで角が立ちません。

禁止事項を並べた貼り紙は、正直あまり読まれません。それより「ここで靴を脱いでね」「写真はここまでOK」と、イラストや矢印で前向きに見せるほうが伝わります。多言語の一言を添えれば、なお親切。

そして、いちばん大事なのは続けることです。一度貼って終わりにせず、客が迷っている場面を見つけたら、次の月に少し直す。JTB総研などの観光研究でも、受け入れ環境の整備は単発の施策でなく継続的な改善として語られています。最初の一歩は小さくていい。むしろ、続けられる小ささから始めるのが正解です。もし「どこから手をつけるべきか自店だけでは判断しづらい」と感じたら、インバウンドに強いパートナーへ早めに相談してみるのも一つの手です。

よくある質問

Q1. まず最初に着手すべきはどれですか?

A1. 言語と支払いの2つが最優先です。写真付きメニューと指差し対応なら費用ほぼゼロ、決済は1〜2種類から始められます。効果を実感しやすい順です。

Q2. 英語が全く話せなくても外国人客に対応できますか?

A2. できます。実際に英語ゼロでも「指差しOK」の札と写真メニューだけで回している店は多いです。流暢さより「伝わる仕組み」が現場では効きます。

Q3. キャッシュレスは全種類入れないと意味がないですか?

A3. いいえ。まずQRコード決済か、来店客層に合うカード1〜2種類で十分です。1週間客層をメモしてから決めても遅くありません。

Q4. 多言語表記は何カ国語まで用意すべきですか?

A4. ケースによりますが、英語1つでも大きく変わります。来店客の国籍が偏っているなら、その言語を1つ足す程度から始めるのが現実的です。

Q5. マナーの注意書きはどう書けば角が立ちませんか?

A5. 禁止の羅列より「こうしてね」と前向きに、イラストや矢印で示すのがコツです。読まれる確率も、伝わり方も変わります。

Q6. Wi-Fiは必ず用意しないといけませんか?

A6. 必須ではありません。ただ提供しているなら接続手順を絵入りで貼るだけで親切度が上がります。客が情報の拠点として頼り始めます。

Q7. 対策の効果はどう確認すればいいですか?

A7. 客が入口やレジで迷う時間が短くなったか、客単価やリピートが変わったかを見ます。数字でなくても、現場の「迷い」の減りが目安になります。

まとめ

  • 訪日客が困る代表例は「言語・支払い・交通・Wi-Fi・マナー」の5つ。まずこの枠で自店の弱点を切り分ける
  • 上位は言語と支払い。写真・指差し・1〜2種類の決済から、費用の小さい順に着手する
  • マナーは叱るより先に見せる。配慮は一度きりでなく、客の反応を見て少しずつ続ける
  • 「全部やる」より「自店に効く1〜2個を続ける」ほうが失敗しにくい

困っている場面を一つ思い出せたなら、それがあなたの店の最初の一歩です。今日できる小さな工夫を、一つだけ試してみてください。

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